金はなぜ人を魅了するのか?砂金はさらに人を魅了する
金はなぜ古来から人々を魅了してきたのでしょうか。これは、金そのものの美しさに由来する点と金が与える感情の豊かさの両面にあると筆者は考えます。
ご存じの通り、金は以前は世界各国どこへいっても通用する究極の支払い手段でした。もちろん、今でもその価値は世界共通であり、どこへいっても換金することができます。金は紙くずになることはありません。金の融点は1064.43℃であり、沸点は2857℃です。そう簡単に燃えたりしません。そして、金の色、重さに触れることは、なぜだか人々に安心感を与えます。金の需要のうち5割以上が宝飾品需要であるところからもわかるように、身につけたり、利用することで楽しめる側面もあります。
このように、金そのものが生み出す嬉しさ、豊かさは古来より変わっていません。今後も人々を魅了し続けることでしょう。そして、忘れてはならないのが、金は資産としても貴重であること。これまでに人々が採掘した金の産出量は、オリンピック公式プールのおよそ3杯半~4杯分といわれています。そして、まだ採掘されていないといわれている金の埋蔵量は、プール1杯程度と言われています。しかしながら、それらをすべて採掘することができるわけでもなく、海底など難しい、深い場所にあるケースもあります。
現在、年間でおよそ3,000トンの金が採掘されているといわれており、このままいくと今後20年も待たずして金の埋蔵量が尽きるという計算もあります。今後、採掘できる量が限られること、金は宝飾品需要の他、工業など様々な用途で需要があり、投資用としての資産価値も高いことを考えると、今後さらに金に対して興味を持つ人は増えていくと考えられます。
ちなみに、現在では、金の年間需要のおよそ3分の1が金のリサイクルによってまかなわれています。今後もリサイクルによってまかなわれる側面が多くなりそうですが、世界的に見ると人口は増加し、豊かになる国・人が増えてくる中で、金の需要が減ることはあるのでしょうか?筆者は、むしろ金の需要が増加し、金価格は今後も下がるどころか上がる可能性が高いのではないかと考えています。
砂金の美しさはさらにすごい
金の延べ棒は美しく、にやにや笑うことができるものの、砂金の美しさはその上をいきます。加工した金にはない自然の美しさがあるのです。また、自然金は一つとして同じものはありません。形、色味など一つ一つすべて異なります。
砂金は、純金と異なり、銀など他の貴金属が混じっています。河川や場所によりその含有量は異なり、色合いが全く違ったりします。また、同じ河川でも上流か中流、下流かで大きさも形も異なります。だからこそ飽きないのです。
砂金を採取するときに、パンニング皿の中でキラッと光るあの瞬間。特に大きいものは皿を回している時にすぐに分かります。あの瞬間が砂金採りの醍醐味だとも思います。また、砂金回収後に一つ一つの砂金の形を見る瞬間も楽しみの一つです。動物の形に見えるものや、球、米粒、月、棒など様々な形があります。こうした観察が楽しみを倍増させています。
もちろん、砂金の価値が高いことも人々を魅了する側面の一つです。全国で毎年開催されているミネラルショーに足を運んでみてください。自然金の販売をしているお店もあると思います。いいお値段しているな~と思われることでしょう。それだけ自然金は採掘に手間がかかり、そんなに採れるものではないことが分かっていただけると思います。
日本でいえば、毎年6月に開催される東京国際ミネラルフェアでは、海外の自然金、砂金などをお目見えすることができるかもしれません。毎年12月に開催される東京ミネラルショーも大規模なミネラルショーです。この2つのミネラルショーで、自然金、砂金を見て楽しんでいただくと、さらに金の世界へどっぷりとはまっていくことでしょう。
<極めて珍しいスポンジ状の自然金>
(写真:Mad Mutha Mine, Nevada, USA)
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