金価格が変動する理由
2000年以降、中長期的に見て金価格は上昇しています。金価格はどういった時に上昇・下落しやすいのでしょうか。金価格が変動する理由を考えていきましょう。
まず、世界情勢が不安定になればなるほど金価格は上昇する傾向にあります。昔から有事の金といわれています。これは、戦争などにより情勢が不安定になると、いざという時に備えて金が買われるためです。国が滅べば貨幣は無価値になる可能性があります。金は世界共通の資産であるため、いざという時は持って逃げることができる。そうした安心感という意面が強く意識されるのです。コロナウィルスといった感染症問題も世界情勢を不安定にさせることから、金が買われる状況が発生しました。
二つ目の理由として、金利との関係をあげることができます。金はあくまで現物資産のため、保有していても利息は付きません。一方、預貯金には利息が付きますよね。そのため、金利が高いときには金で保有すると不利になるため、金価格は下がりやすい傾向にあります。景気が悪くなると、各国の中央銀行は金利を下げ、お金を借りやすくすることで景気を安定化させようとします。この結果、相対的に見て利息の付かない金資産にメリットが生じ、金が買われ金価格が上昇することが考えられるのです。
三つ目の理由として、物価との関係をあげることができます。世界を見渡せば、中長期的に物価が上昇しています。物価の上昇により手元にある紙幣で買える物の数量は目減りします。一方、金はインフレに強いとされており、物価の上昇に金価格上昇も連動する傾向があるため、価値は目減りしないのです。
この他、通貨への不信感が強まると金は買われる傾向にあります。財政問題などにより通貨への不信感が生ずれば生ずるほど、実物資産である金へ逃避する可能性があるのです。また、新興国等の経済成長に伴う金需要増加も金価格を押し上げる理由となります。中国やインドでは宝飾需要も多いため、そうした需要が増えれば金価格押し上げにつながるでしょう。中国政府など各国政府が金購入を増やしている場合にも、金価格は上昇しやすいです。
そして、なんといっても金の希少性という価値を忘れてはなりません。世界的に人口が増える中で、金は無限に採掘できるわけでもなく、需要の方が供給より高まる恐れがあるのです。有史以来発掘された金の総量は、オリンピック用50メートルプールの3杯半ほどといわれています。リサイクルにも頼る状況となっており、その希少性は高まる一方といえます。
こうした理由から、金価格の上昇が期待できます。もちろん、必ず上がると断言できるものではありませんし、その時々の情勢により金価格相場も変わっていきます。
なお、世界的に見て宝飾品などに関連する金の需要が減少する場合、世界経済情勢が安定している場合、景気が良くなり金利が上昇しやすい場合などには、金価格は下落してもおかしくはありません。
上記のような様々な理由により、世界的に見て金価格は変動します。ただ、古来よりその輝きを好む人は多く、希少性は変わらないことでしょう。金そのものが無価値になることはなく、むしろ今後さらに重宝されるほうが高いのではないかと思います。是非新聞や貴金属店のホームページなどから金価格もチェックし、なぜ上がっているのか、下がっているのか確認してみてください。
金価格はどういった場合に上昇する可能性がある?
①通貨(国)への不信感
国際基軸通貨である「米ドル」に対する不信感。
②ペーパー資産から実物資産へ
金は紙くずにはならない。
⇒金融危機時、世界同時不況時には株式や債券は暴落したが、金価格はむしろ上昇している。
③新興国の経済成長に伴う金需要の増加
中国やインドは宝飾需要も多い。
⇒人口増加、経済成長に伴い金需要は増加する見込み。
④インフレに対応
物価の上昇により、紙幣で購入できる物の数量は目減りする。
⇒金はインフレに強いため、物価の上昇に伴い金価格も上昇する傾向にある。
⑤年金、オイルマネーの流入
リスクの分散を行うために、金投資の割合が増加しつつある。
⇒金価格水準の下支えとなっている。
⑥希少性
有史以来発掘された金の総量はオリンピック用50mプール3杯半ほど。
⇒需要に対して金鉱山生産量だけでは不足するため、リサイクルに頼っている状況。
(写真:結晶金。Ruby Well, Western Australia.3.46g)
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