アンティークコイン投資は 本当に儲かるのか? – 一般社団法人資産運用総合研究所
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アンティークコイン投資は本当に儲かるのか?~実態をコイン指数で確認する~

ウナとライオンに続き、イギリスのロイヤルミントから発行されたスリーグレイセスの金銀貨は大変な人気ぶりで、発売開始から10分ほどですべて完売となっています。こうしたコインの価格は、株式と異なり、投資指標があるわけでもなく、結局発行枚数やデザイン、そしてその時の需要と供給で決まります。

こうした人気のあるモダンコインは、ある程度高値を維持すると想定されるものの、実際のところ、歴史的な価値もあるアンティークコインという視点で見た場合、運用に適しているといえるのか?この点について、皆が気になるところでしょうから、調査できる範囲内という制約があるもののお答えしていきたいと思います。

スタンレーギボンズ社が公表した「GB200レアコイン指数200」

スタンレーギボンズ社は、イギリスはロンドン証券取引所に上場する老舗の切手商です。このスタンレーギボンズ社が公表した「GB200レアコイン指数200」は、イギリスのレアコイン200銘柄のオークション落札価格をもとに指数化したものになります。まずは、そのグラフをご覧ください。

(出所)Stanley Gibbons社

さて、この指数と金価格(ポンド建て)、イギリス不動産価格、FTSE100株価指数(ロンドン証券取引所上場優良大型上位100社)などを比較して何が言えるでしょうか?これだけ見れば、レアコイン指数すごいな、と思いますよね。確かにこの1995年~2015年で見た場合、いかにもアンティークコインはすごいと感じてしまいます。

それでは、この続きがどうなっているのか?知りたいですよね。金価格はご存じの通りこの後も上昇しています。FTSE100株価指数はEU離脱やコロナショックの影響もあってか、ここ10年間、5000~7000の間を行き来しています。それでは、レアコイン指数はどうでしょうか?実は調査してもでてきません。これでは2015年以降の状況が判断できません(どなたかこの後どうなったか知っている方は教えていただきたいです)。一つの理由に、スタンレーギボンズ社の経営危機があった模様です。

ご参考記事:No stamp of approval for Stanley Gibbons’ failed Guernsey investment vehicle

ちなみに、スタンレーギボンズ社の株価は以下の通りとなっています。

(出所)Market Beat

過去に買い戻し保証をつけていたのが原因のようです。これがアンティークコイン価格への影響にも負の連鎖となったと考えられます(価格が下がりそうになったら、買い戻し保証がついているコインは売却したいと皆考えますよね)。

さて、これが直接の原因かどうかは断定できないものの、もう一つのコイン価格指数が大きく下落した過去があることも確認しておきましょう。その指数とは、アメリカのコイン鑑定会社PCGSが公表する「PCGS3000®インデックス」です。こちらはイギリスではなくアメリカの3000銘柄のレアコイン相場を指数化したものになります。

(出所)PCGS3000® Index

 このグラフをご覧になり、2015年以降がどうなったのか、想像できますよね。イギリスとアメリカ、コインの数の違いがあるため、はっきり断定はできませんが、アンティークコイン相場は2015年前後を境として下落していることがわかります。なお、チャートから見るに、2019年に底を打った気配ですので、投資するという目線から見ればチャンスともいえるのかもしれません。

 もう一つ、これを1970年代から見た場合のチャートも掲載しておきます。

(出所)PCGS3000® Index

なんともまぁ、日本株のバブル時のような現象が発生していることがわかります。これならば、まだ日本株に投資していた方がマシだったかも?といえるようなグラフです。

運用に完璧なものは存在しない

以上からお分かりのように、アンティークコインも完璧な投資であるとはいえません。その時々の経済情勢や需給に影響を受けるものと考えられます。なお、上記グラフではモダンコインは含まれていません。2021年2月24日現在いえることは、昨今ではモダンコインの方が人気が集まっている模様であるため、必ずしも上記グラフはアンティークコインやレアコインによる指数であること、モダンコインも含めた全体の相場であるとはいいがたい部分もあることを含みおく必要があります。

結局のところ、イギリスの有名な経済学者であるケインズが述べた「美人投票」と同じ論理がコイン価格でも当てはまると思います。つまり、市場参加者の多くが値上がりすると判断するであろうコインを選ぶことが有効な投資手法であり、そうした選別眼が必要といえましょう。

※貨幣研究室は、あくまで中立的な立場から考察しています。また、購入/投資行為は全てお読みいただいている皆さま個人の責任となりますのでご了承ください。

Youtubeでの当記事の内容を解説しています。

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